American Society of Clinical Oncology(ASCO: 全米癌治療学会) 2002レポート
2002年5月フロリダ州オーランドにて開催   URL http://www.asco.org/


手術可能原発乳癌に対する術前化学療法としての
濃厚docetaxel/doxorubicineおよびsequential化学療法との比較


皆さんは術前化学療法という言葉をご存知でしょうか。乳癌といえばすぐに手術と思い込んでいませんか。

最近では乳癌の治療は、集学的治療といって、手術だけではなく、放射線療法とか、化学療法(抗癌剤)とか、ホルモン療法など、乳癌治療に有効と思われる治療はすべて取り入れて治療するのが主流なのです。

そうなると、手術をいつ行うのかという問題が出てきます。今までのように、乳癌が診断できた時点ですぐに手術というのは最近少しづつ考え方がかわってきています。術前に抗癌剤を投与したほうが、癌が抗癌剤に効きやすいのかどうかが分かりますし、もしうまく抗癌剤が効いて腫瘍が縮小したら温存治療ができるようになる可能性もあるのです。

そのような背景から最近では術前化学療法が脚光を浴びており、この学会でも多くの研究発表がありました。この報告は、それらのなかの一つで、ドイツのGEPARDUO studyの術前化学療法の報告です。

内容は、現在乳癌治療では最も有効とされているドセタキセルとドキソルビシンという二つの薬剤を同時に投与するほうがよいのか、順番に投与するほうがよいのかを調べた臨床試験の結果 です。この試験の結果では、二つの薬剤を順番に投与するほうが成績はよかったようです。これらの臨床試験がまだまだたくさん行われています。


原発乳癌に対する補助化学内分泌療法は同時併用よりもsequentialにすべき
ーintergroup 0100トライアルの結果



乳癌治療では抗癌剤と内分泌療法剤が全身治療の二本柱ですが、術後にこれらをどのように組み合わせればよいのかに関して明確な回答を出した報告はありません。すなわち、化学療法もホルモン療法も効くわけなので、それらを同時に使用したほうがよいのか、順番に使用したほうがよいのかを試験した結果 が報告されました。

この報告では化学療法が終了してから内分泌療法を始めたほうが同時に投与したよりも成績がよさそうという結果 でした。ただ、同時に報告されたその他の試験では差がないとする報告も見られ、現在の所明らかな結論は出ていません。しかし、どちらでもよければ今のところ順番に使用しましょうというのが、流れのようです。

このように、全米癌治療学会においては、前向きの無作為化比較試験といって、いわゆる臨床試験の結果 が多く報告されています。このような手法で行われた臨床試験の結果 が最も信頼されると考えられているのです。このような試験結果が積み重ねられて、エビデンスレベルの高い結果 が得られ、臨床医療に反映されていくのです。従って、臨床試験は非常に大事といえます。